ウェアラブル時代、ジュエリーはどこに居場所をつくるのか
Posted on by narita
身につけるものが、機能を持ちはじめた
AIグラスやスマートバンドを日常的に使うようになって、想像以上に便利だと感じている。
通知を見る。
予定を確認する。
睡眠や運動を記録する。
外国語を翻訳する。
必要な情報を、スマートフォンを取り出さずに確認する。
これまでスマートフォンの中にあった機能が、少しずつ身体の上に移動してきた。
腕時計がスマートウォッチになり、眼鏡がAIグラスになる。
おそらく次は、指輪やイヤホン、ペンダントのようなものにも、もっと自然に機能が組み込まれていくのだと思う。
そこで、ジュエリーを作る側として少し気になることがある。
ウェアラブルデバイスの普及は、アクセサリーの居場所を狭くするのではないか。
身体には、意外と「身につけられる場所」が少ない。
手首には時計やスマートバンド。
耳にはイヤホン。
顔にはAIグラス。
指にはスマートリング。
そこへさらに指輪やブレスレット、眼鏡、イヤーカフを重ねていく。
機能を持つものが身体の場所を先に取ってしまえば、純粋な装飾品が入り込める余地は物理的にも視覚的にも少なくなる。
ただ、逆の可能性もあると思う。
ウェアラブルデバイスが増えれば増えるほど、人は「便利なもの」ばかりを身につけることになる。
だからこそ、何の役にも立たないけれど、身につけたいものの価値が、逆にはっきりするのではないか。
ジュエリーは時間を教えてくれない。
翻訳もしてくれない。
健康状態も測ってくれない。
それでも何千年も、人は石や金属を身体につけ続けてきた。
記憶だったり、願いだったり、所属だったり、単純に美しいからだったり。
考えてみればジュエリーは、ずっと「機能とは別の理由」で身体の場所を獲得してきたものだ。
だからウェアラブル時代にジュエリーがなくなるとは思わない。
ただし、中途半端なアクセサリーは今まで以上に選ばれなくなるかもしれない。
便利さではデバイスに勝てない。
だとすればこれからのジュエリーには、便利さとはまったく違う方向で、「わざわざ身につける理由」が必要になる。
AIグラスをかけ、スマートバンドを腕につけ、スマートリングを指にはめる時代。
その身体のどこに、ジュエリーの居場所をつくるのか。
これはこれからジュエリーを作っていく上で、かなり面白いテーマになりそうだ。
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